「離婚」を考える際の戦略とポイントについて
いざ「離婚」と決意をしてみても、何が法律的に問題になるのか、どのように進めれば良いのか、よくわからない方も多いと思います。
東京渋谷法律事務所にも、そのような不安と疑問をお持ちの方が、よくご相談にいらっしゃいます。
離婚を進めるにあたり、確認しなければならない法律的なポイントと、戦略についてご説明します。
ポイント1 相手方が離婚に応じない場合にはどうしたらよいのか
重要なことは、「法律上の離婚原因があれば相手方が離婚に応じない場合でも離婚することができる」が、そうでない場合で、かつ何も戦略を立てなければ、「相手方の承諾がなければ離婚できない」ことになります。
そのため、「相手方が離婚に応じない」、「応じそうもないけれど、離婚をしたい」という場合には、離婚原因があるかどうかがポイントになります。
逆に、相手方が離婚に応じていれば、離婚原因の有無は問題になりません。
注意点は、いくら離婚原因があっても、離婚原因をつくった配偶者(有責配偶者)からの離婚請求は認められないということです。
つまり、浮気をした夫が離婚をしたいと思っても、妻が応じない限りは、原則として離婚はできません。
例外的に離婚請求が認められる場合もありますが、かなり厳しい条件となっています。
そのため、有責配偶者からの離婚請求の場合には、相手の同意を得るために、厳しい条件での離婚を受け入れる必要が生じてしまうこともあります。
離婚原因がない場合にも相手が同意しなければ離婚はできません。
しかし、別居期間が長くなる等の事情があれば、それが離婚原因になることもあります。
離婚原因は、離婚をするための戦略上、非常に重要なポイントですので、分からないことがあれば、裁判例などにも詳しい弁護士にご相談することをお勧めします。
ポイント2 未成年の子がいる場合、親権者を夫と妻のどちらにするか
夫婦に未成年の子がいる場合には、離婚する際に、妻と夫のどちらを親権者とするのか決める必要があります。
これは離婚届にも記載しなければなりませんので、離婚の際に、必ず決めなければなりません。
なお、時々、勘違いする方がいらっしゃるのですが、親権を失っても親子関係は失われません。
つまり、相続等での親子関係は継続します。
ポイント3.適切な養育費の金額を決めましょう
養育費は、当事者の合意で自由に決めることも可能ですが、家庭裁判所では、基本的に、養育費の算定表というものがあり、相互の収入を基準に決められます。
そのため、協議離婚でも、この算定表を参考にして決めることもあります。
養育費は、一度決めても、収入などに変動があれば、増額請求、減額請求が可能です。
ポイント4.お子さんとの面会交流の方法を決めます子と別居することになる親が、未成年の子と面会する方法(面会交流)を決めます。
例えば、「月1回1時間とする」というような事項を決めておきます。
離婚後に決めることもできますが、親権を失う場合には、面会交流が子どもとの接点になりますので、しっかり決めておいた方が良いでしょう。
ポイント5.財産分与があるのか?いくらなのか?
結婚中に形成された夫婦の財産(たとえば、預貯金や共有不動産等)をどのように分けるのかというのが財産分与の問題です。
財産の名義は関係なく、あくまで結婚生活でお互いの協力で形成されたかどうかが問題になります。
例えば、夫名義の不動産や預貯金で、妻が専業主婦であっても、妻は通常は内助の功により夫の名義の財産を増やしたことになるので、財産分与を請求できます。
相続や贈与された財産は、対象外となります。
財産がなければ、お互いに請求できません。
ポイント6.慰謝料は請求できるのか?慰謝料の相場は?
慰謝料の請求は、相手に離婚するに至った原因があれば可能です。
例えば、相手が浮気した場合です。他には、DVなどの場合にも被害者が加害者に請求することが可能です。
慰謝料の相場についてのご質問も多いですが、浮気が原因で離婚することになった場合に、訴訟で離婚の慰謝料を請求すると、ケースごとに幅がありますが、200万円前後の請求が認められることがあります。
芸能人の離婚等のニュースで、「慰謝料○千万円」等と報道されることがありますが、実際には解決金の名称で財産分与も含めた金額になっていることがあります。
ポイント7.年金分割
年金の被扶養者となっていた場合、婚姻期間中の年金の払込保険料を最大0.5の割合で分割することができます。
あくまで被扶養者になっていた期間について問題になります。
事前に社会保険事務所に行って、年金分割のための情報提供を受けておいたほうがよいでしょう。
ポイント8.別居中の生活費の請求(婚姻費用分担請求)とその額
離婚の話し合いが長引く場合には、その間の生活費が問題になります。
夫婦には、相互に扶養する義務があり、生活費(婚姻費用)の分担義務がありますので、離婚協議中に別居した場合は、原則として、収入の低い方が、収入の高い方へ、生活費の請求をすることができます。
子どもがいなくても請求できます。
この金額は家庭裁判所の婚姻費用の算定表で、互いの収入を基本に計算されます。
ポイントは以上ですが、 例えば、夫婦間に未成年の子がいない場合には、ポイント1、5、6、7、8だけを確認することになります。
例えば、妻が離婚に応じてくれないという場合には、離婚原因があるかどうかが問題となります。
未成年の子を持つ夫婦の離婚では、夫と妻のどちらが親権者となるかが大きな問題となります。
関連して、離婚後の子の養育費や、離婚後の生活費等も重大な問題となります。
もうすでに子が成人しているご夫婦の離婚では、財産分与が大きな問題となるかもしれません。
また、夫婦の一方が浮気(不貞行為)やDVをした場合等には、慰謝料が問題となります。
ポイントといっても、法律的な用語もあり、なかなか分かりづらいと思いますので、東京渋谷法律事務所の法律相談で、あなたのケースに合った詳しい説明を受けてください。