浮気相手(不貞行為の相手方)に慰謝料を請求できる場合
配偶者が不貞行為に及んだ場合、不貞行為の相手方に対して、慰謝料を請求できることがあります。
不貞行為とは、一般に、配偶者以外の人と自由な意思に基づいて性的関係を持つことをいいます。不貞行為は、婚姻共同生活の平和を侵害する不法行為となる場合があり、民法709条・710条に基づく慰謝料請求の対象となります。
不貞慰謝料は、離婚する場合だけでなく、離婚せずに婚姻関係を継続する場合でも請求が認められることがあります。
ただし、不貞行為があったからといって、必ず慰謝料を請求できるわけではありません。例えば、不貞行為が始まった時点で既に婚姻関係が破綻していた場合や、不貞行為の相手方に故意・過失が認められない場合などには、請求が認められないことがあります。

不貞慰謝料と離婚慰謝料の違い
不貞行為に関する慰謝料請求では、不貞行為自体による精神的苦痛に対する慰謝料と、離婚を余儀なくされたことによる精神的苦痛に対する慰謝料を区別する必要があります。
不貞行為自体に対する慰謝料
不貞行為によって婚姻共同生活の平和が侵害された場合には、不貞行為をした配偶者だけでなく、その相手方に対しても慰謝料を請求できることがあります。
この慰謝料は、離婚の成立を要件とするものではありません。そのため、離婚せずに婚姻生活を継続する場合でも、慰謝料請求が認められる可能性があります。
離婚を余儀なくされたことに対する慰謝料
一方、離婚を余儀なくされたこと自体による精神的苦痛については、不貞行為の相手方が当然に責任を負うわけではありません。
最高裁判所は、平成31年2月19日の判決において、不貞行為の相手方が、単に不貞行為に及ぶだけでなく、夫婦を離婚させる意図をもって婚姻関係に不当に干渉するなど、離婚を余儀なくさせたと評価できる特段の事情がない限り、離婚に伴う慰謝料を請求することはできないと判断しました。
したがって、不貞行為の相手方に慰謝料を請求する際には、不貞行為自体による損害と、離婚に伴う損害を区別して検討する必要があります。
参考判例:最高裁判所第三小法廷平成31年2月19日判決(平成29年(受)第1456号)判決原文(裁判所・PDF)
不貞行為の相手方に慰謝料を請求するための条件
1.不貞行為があったこと
慰謝料を請求するためには、原則として、不貞行為があったことを証拠によって明らかにする必要があります。
不貞行為は、継続的に行われている必要はありません。1回の性的関係でも不貞行為に該当する場合があります。
もっとも、単に異性と食事をした、連絡を取り合っていたという事情だけでは、直ちに不貞行為が認められるわけではありません。具体的な行動や交際状況、証拠の内容などを総合して判断されます。
2.不貞行為の相手方に故意・過失があること
不貞行為の相手方に対して慰謝料を請求するためには、原則として、相手方が交際相手を既婚者と知っていたこと、又は知らなかったことについて過失があったことが必要です。
例えば、交際相手から独身であると説明され、それを信じたことについて過失もなかった場合には、慰謝料請求が認められない可能性があります。
3.不貞行為の時点で婚姻関係が破綻していなかったこと
不貞行為が始まった時点で、既に夫婦の婚姻関係が破綻していた場合には、特段の事情がない限り、不貞行為の相手方に対する慰謝料請求は認められません。
もっとも、別居しているという理由だけで、当然に婚姻関係が破綻していたと判断されるわけではありません。別居に至った経緯、別居期間、夫婦間の交流状況などを踏まえて検討する必要があります。
参考判例:最高裁判所第三小法廷平成8年3月26日判決(平成5年(オ)第281号)
浮気の証拠はどのようなものが必要か
証拠の種類
不貞行為の証拠としては、次のようなものが考えられます。
- ホテルへの出入りや宿泊状況を示す写真・動画
- 性的関係を推認させるメールやメッセージ
- 不貞行為を認めた発言や書面
- 当事者間の会話の録音
- 旅行・宿泊などの記録
- その他、不貞関係を裏付ける客観的な資料
必ずしも性的関係そのものを直接撮影した証拠が必要なわけではありません。複数の間接的な証拠から不貞行為が認定されることもあります。
また、不貞行為の相手方が既婚者であることを知っていたかどうかを示す証拠も重要です。
証拠を収集する際の注意点
メールやメッセージなどを証拠として確保する場合には、日時、送信者、前後の会話などが分かる状態で保存することが望まれます。
ただし、証拠収集のためであっても、他人のアカウントへの無断アクセス、不正な方法による情報取得、違法な盗聴・撮影などは避ける必要があります。
証拠が十分かどうか、追加調査が必要かどうかについては、弁護士と相談しながら判断することをおすすめします。

調査会社(探偵)への依頼
調査会社に依頼し、ホテル等への出入りや行動状況を調査してもらう方法もあります。
もっとも、調査費用は調査内容、日数、人員などによって大きく異なります。調査を依頼する前に、見積りを取り、調査の対象、期間、追加費用の有無などを確認することが重要です。
また、既に十分な証拠がある場合には、高額な調査を追加する必要がないこともあります。費用をかけて調査する前に、既存の証拠でどの程度立証できるかを検討することが望ましいと考えます。
不貞行為の相手方に対する慰謝料請求の進め方
1.慰謝料を請求する相手を検討する
慰謝料を請求する相手としては、次の3つの方法が考えられます。
- 不貞行為をした配偶者に請求する
- 不貞行為の相手方に請求する
- 配偶者と不貞行為の相手方の双方に請求する
どの方法を選択するかは、離婚するかどうか、今後の夫婦関係、不貞行為の証拠、各当事者の資力、回収可能性などを踏まえて検討します。
不貞行為をした配偶者とその相手方が、同一の損害について共同不法行為責任を負う場合には、一方から慰謝料の支払いを受けたことにより、他方に対する請求額が減少することがあります。
例えば、同一の不貞行為による損害額が200万円と評価され、その損害について一方から200万円全額の支払いを受けた場合には、原則として、同じ損害について他方から重ねて200万円を取得することはできません。
ただし、不貞行為自体による慰謝料と離婚に伴う慰謝料の区別、示談の内容、支払金の性質、当事者間の合意などによって、具体的な取扱いは異なります。
2.請求方法とタイミングを検討する
慰謝料請求の方法としては、主に次の方法があります。
- 内容証明郵便等による請求と任意交渉
- 話合いによる示談・和解
- 民事調停の申立て
- 民事訴訟の提起
不貞行為の相手方に対する慰謝料請求は、配偶者との離婚協議と併せて進める場合もあれば、離婚せずに慰謝料請求のみを行う場合もあります。
請求の時期や方法は、離婚協議への影響、証拠の状況、相手方の資力、消滅時効などを考慮して検討する必要があります。
慰謝料の額についても、婚姻期間、不貞関係の期間・態様、婚姻関係への影響などの事情を踏まえて判断されるため、一律の金額が決まっているわけではありません。
3.消滅時効にも注意する
不貞行為を理由とする損害賠償請求権については、原則として、損害及び加害者を知った時から3年間、又は不法行為の時から20年間という消滅時効の問題があります(民法724条)。
具体的な起算点や時効の完成の有無は、請求の対象となる損害や事実関係等により検討が必要です。長期間経過している場合には、早めの確認をおすすめします。
不貞慰謝料を請求されてしまったら
東京渋谷法律事務所では、交際相手の配偶者から慰謝料請求を受けた場合の対応についても、事案に応じてご相談をお受けしています。
慰謝料を請求されたからといって、請求された金額をそのまま支払う義務があるとは限りません。不貞行為の有無、故意・過失、婚姻関係の状況、慰謝料額の相当性などを検討する必要があります。
内容証明郵便や訴状が届いている場合には、回答期限や裁判所の期日等を確認し、お問い合わせの際にお知らせください。
なお、このようなご相談については、初回無料相談の対象となるかどうかを個別に判断し、事前にご案内します。
弁護士費用
初回法律相談について
当事務所では、妻側・女性側から弁護士への不貞慰謝料請求のご依頼を検討されている方を対象に、初回60分の無料法律相談を実施しています。
ご相談の時点で依頼を決めている必要はありません。相談後にご依頼いただかなかった場合も、無料相談の対象となる方については相談料は発生しません。
一方、不貞慰謝料を請求された側のご相談、ご自身で慰謝料請求や交渉を進めるための具体的な法律上の助言のみを希望される場合や、セカンドオピニオンを希望される場合は、原則として有料相談となります。
無料・有料の区分及び相談料は、お申込み内容を確認したうえで、予約確定前にご案内します。
着手金・報酬金
不貞慰謝料請求に関する弁護士費用として、以下の料金プランを設けています。
プランA
- 着手金:20万円(税別)
- 報酬金:経済的利益の10%(税別)~
プランB
- 着手金:10万円(税別)
- 報酬金:経済的利益の20%(税別)~
※証拠の内容、事件の難易度等によって、費用が増額となる場合があります。
※訴訟提起が必要となる場合の費用は、別途ご案内します。
※具体的な弁護士費用は、ご相談内容を確認したうえでお見積りします。
※慰謝料を請求されている側の事件では、減額によって得られた利益を経済的利益として算定する場合があります。具体的な算定方法は、委任契約締結前にご説明します。
不貞慰謝料・離婚問題のご相談
不貞行為を理由とする慰謝料請求では、請求の可否、証拠の内容、離婚との関係、請求する金額や方法などについて、個別の事情を踏まえた検討が必要です。
当事務所へのご依頼を検討されている方は、以下のフォームからお問い合わせください。

