将来受け取る財産の分与について
将来夫が受け取るであろう年金や退職金が財産分与の対象となる場合があります。
将来受け取ることになるであろう年金については、平成19年に年金分割制度ができましたので、この制度により分割された厚生年金については年金事務所から直接確実に受け取ることができるようになりました(年金分割の効果は,厚生年金の報酬比例部分に限られます)。
将来受け取るであろう退職金については、裁判例も分かれていますが、退職金が賃金の後払いと見なされる傾向が強いため、将来支給されることがほぼ確実である場合には、財産分与の対象財産となる傾向が強いと言えます。
退職までの年数が長い場合や、会社の経営状態が不安定で退職金が受け取れるかわからない場合は、分与の対象となる可能性は低くなっていきます。裁判例では、定年まで6年の会社員、定年まで8年の国家公務員、定年まで13年の地方公務員などで財産分与の対象として認められたものがあります。
実際の分与の方法については、定年時の退職金額を基準として、就労期間の中での夫婦としての同居期間が占めた期間の割合を乗じた額を、分与対象とすることが多いようです。